氷狼―コオリオオカミ―を探して
もう一度……頑張れ……ショウ君?

待ってよ、ショウ君って誰?


あたしは矢を番えた。


頭は冴え渡っているのに、心はざわついている。

弓を持つ手は落ち着いているのに、胸が熱い。


狙うのは氷狼の左肩


「行け、チビ」

チェイサーが抑えた声で言う。


指が離れ


弦が鳴り


矢は少し上に逸れて――


あたしの放った矢は、氷狼の眉間を射ぬいた。


真横に倒れ込んだ氷狼を見て、チェイサーが『よくできた』と、まるで自分の事のように誇らしそうに言った。
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