氷狼―コオリオオカミ―を探して
「矢を抜いて『家に帰りたい』と願え」

チェイサーが言った。


「まだだよ。みんなにお別れ言いたいし、狩りが終わるまでいる」

あたしは氷狼のリーダーを指差した。

「あいつを倒すまでは」


「頑固だな」


そうだよ

あんたが一番よく知ってるじゃない


「では少しだけ待っていろ。あいつを狩ってくる」


チェイサーは岩場に向かって駆けて行った。

その後ろ姿をあたしは目で追った。

あの背中をあたしは知っている。

少しずつ記憶がよみがえる。


ショウ君

あれはショウ君だ


ああ

なんでこんな大切なこと、忘れていられたんだろう
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