氷狼―コオリオオカミ―を探して
「十分に分かったよ。あんた達があたしの狩りの邪魔をしようとした訳もね」


「我らはあの男が好きだった。真っ直ぐな心を敬愛していた。もっとも、あの純粋さでは人の子としては生きづらかっただろうが」


「今は大丈夫だよ。あんた達と色々な場所で狩りをして、色々な経験をして、今なら人間として生きられそうな気がするって言ったもの」


「それを聞いて安心した」

イタチが微笑んだ。


「さて、と! 次の狩りに行くんでしょ?」

しんみりとした雰囲気を吹き飛ばしたくて、あたしは明るく言った。


「そうなのだが……トムボーイ?」


「何?」


「もし……もしもだよ、もう一つ願いがかなうとしたら、あなたは何を望むね?」
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