氷狼―コオリオオカミ―を探して
あたしは自分の髪を指でつまみ上げて、横目で確かめた。


「ホントだ。黒いままだ。どうして?」


「思うに、あなたはまだ人の子のままなのだと思う」


他の白魔たちがざわめいた。


「まさか!」

「そんな事、聞いたこともない」


あたしは波打ち際でまだ燃えている松明に目をやった。


「ねえ、あんた達はあの松明を持てるの?」


「炎がない時は」

イタチが答える。

「燃えていれば手をかけることもできない」


「試してみる」

あたしは、ゆっくりと波打ち際に歩いて行った。

火はだいぶ弱まっていたが、それでもまだ辺りを照らすくらいには燃え続けていた。

あたしは身をかがめ、砂に刺さっている松明の柄に手をかけた。
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