氷狼―コオリオオカミ―を探して
松明はスッと砂から抜け、あたしの手に納まった。

あたしは振り向いて白魔達を見た。


「持てるよ。どういうこと?」


「あなたは人の子だということだ」

イタチが言った。

「あなたは妖魔にはならない」


「やめてよ、妖魔にならないでどうやってあんた達と行けばいいの?」


「トムボーイ、あんた、帰れるんじゃないか?」

狐が呆然としながら言う。


「待てよ」

別の狐が言った。

「オイラ達を見たら、『帰りたい』という願い事をしなきゃ帰れないはずだろ?」


「それは、それ以外の願い事では妖魔になってしまうからだ」

と、イタチ。

「願い事を告げてなお、妖魔にならないのなら帰れるかもしれぬ」


あたしの心臓は息が詰まりそうなくらいドキドキした。
< 141 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop