氷狼―コオリオオカミ―を探して
馬の乗り手は、あたしの横にピッタリとついて歩き出した。


勘弁してよ


遠くから見て白いコートだと思っていたのは、白い毛皮のマントで、キラキラ光るクリスタルのようなものが無数に散りばめられていた。


乗り手が歩く度に視界の端でマントがきらめく。


「気をつけろ」

低い声が言った。

「突っ込んでくるぞ」


乗り手の言葉が終わるか終わらないかのうちに、子供があたし達の足元にスライディングしてきた。


子供に足を蹴られてよろめいたサヤが

「うわっと! すべるぅ」

と騒ぐ。


子供が立ち上がらないので心配して見ると、それは子供ではなく白狐だった。
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