氷狼―コオリオオカミ―を探して
サヤは足元に寝転ぶ白狐には気がつかないらしい。


白狐はあたしの方を見てニヤリと笑った。


お面が笑うとは思わなかった。


それでもあたしはなにも見えないふりをしながら

「もうサヤ、気をつけなよ」

って、友達の腕を支えて白狐の上をまたいだ。


「この娘、見えてるね」

白狐が嘲るように言った。

「絶対に見えてるよ」


「まだ分からん」

あたしの横で馬の乗り手が言う。


「チェイサー、あんたは慎重過ぎる」


白狐は素早く腕(前脚って言うべきかな)を延ばしてサヤの足首をつかんだ。


「サヤっ!」


前のめりになったサヤをあたしは慌てて支えた。
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