氷狼―コオリオオカミ―を探して
「もうやめさせて」


あたしは小声で馬の乗り手にささやいた。


「俺が見えるのか?」

馬の乗り手が小声で言う。


「見えたり見えなかったりするけど、いるのは分かる」


「見えないふりを続けろ」


そんなこと言ったってこのままじゃ友達がケガをしちゃう


白狐がもう一度サヤの足に手を延ばした。


あたしは我慢できなくて、ブーツのかかとで思いっきり白狐の手を踏んでやった。


「痛ぇっ! なにすんだよ、この娘!」


白狐がわめいた。


いいきみ


「チェイサー! こいつ絶対に見えてるって!」


あたしはわめく白狐を無視した。
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