氷狼―コオリオオカミ―を探して
窓の向こうで風がうなりを上げた。


街角を氷狼が駆け抜け、追い立てる白魔の一団が見えた。


狩りに行きたい


風の太鼓の音が、あたしの中の白魔の部分を駆り立てる。


騒ぐ心を押さえ付け、あたしは翔くんに目をやった。


夏の海のような瞳が優しくあたしを見つめていた。


あなたとずっといたいのに


春を迎え、この人と桜の下を歩くのは、今年が最後かもしれないと思った。






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