氷狼―コオリオオカミ―を探して
「少しずつぅ? 何よそれ!」


「やかましい娘だな。急に戻れば体が腐り落ちるのだぞ」


「げっ! ああ……少しずつでいいです。はい」


自然解凍ってことね


「何度も言うようだが、俺に決定権がある訳ではない。俺はこの世界のルールに乗っ取っているだけだ」


「じやあ、そのルールを決めているのは誰なの?」


「知るか。お前の世界にも誰が定めたのか分からぬ決まり事があるであろう? 生き物はなぜ年老いて死ぬのだ? なぜ夜の後に朝が来る?」


「それは――」


「仕組みは分かるだろうさ。だがそれを定めたのは誰だ?」


「神様……かな」


「俺が言う『ルール』とはそういった類の決まり事の事だ。いちいち突っ掛かるな」
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