氷狼―コオリオオカミ―を探して
突っ掛かるなと言われてもなぁ……


今感じてる不安とか不満は誰にぶつければいいっての?


「俺に当たったところで物事は解決しない」


そりゃそーだ


「憂さは晴れるかもしれぬがな」


「はぁ……何でこんなコトになっちゃったんだろ」

あたしはため息をついて言った。


「真夜中は妖魔と夜出歩く動物達のための時間だ。人の子は眠るものだ。ましてや外など見るものではない」


「今の世の中、街は眠らないの。24時間やってるコンビニって店知ってる?」


「そういう場所の明かりは見たことがある。なぜそうしているのかいまだに理解できないが」


「便利だからよ」


「その利便性を得る代わりに何かを失うはずだ」


「別に悪いことしてる訳じゃないじゃない」


「悪いとは言わぬ。だが、人の子にしろ妖魔にしろ全てを手にできる訳ではない」
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