氷狼―コオリオオカミ―を探して
「ねえ、氷狼を捕まえたら何でも願いがかなうんだよね」


「ああ」


「世界平和とか願ったらどうかな」


「俺の考えだと、その途端に人の子は滅ぶだろう。そうすれば世界は平和になる」


「そうか……そういう事もありえるんだ」


チェイサーはもう一度あたしに口づけた。

冷気が体のすみずみまで染み渡る。


「願い事は慎重にな」


あたしは魅入られたようにアイスブルーの瞳を見つめた。


チェイサーの顔はさっき見たイタチの素顔よりも親しみが持てた。


もう一度顔が近づき、唇が重なった。


チェイサーの片手があたしの頭を支え、反対の手が腰に絡み付く。


ゆっくりと唇があたしの唇をさぐり、背筋がゾクッとして膝から力が抜けた。


最後に軽く冷気が体に入ってきた。


「今のも狩りの準備?」


あたしが言うと、チェイサーは首を横に振った。


「今のはキスだ」
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