氷狼―コオリオオカミ―を探して
「これは群れのリーダーだった狼のものだ。もっと小さいのもいる」


「それが今までの獲物で一番大きなもの?」


「いや、もっと大きいのもいた。これは俺が初めて狩った氷狼だ」


「へえ、妖魔も願い事できるの?」


「俺達はできない。狩りは俺達に与えられた仕事だからな。後で分かるだろうが、人の子が入ると狩りが楽になるのだ。きっと俺達の世界から、その手助けへの礼なのだろう」


あたしは着替えると、制服とコートをたたんで鞄と一緒に置いた。


「もうこっち見てもいいよ」


あたしの言葉にチェイサーが振り向いた。


「髪が黒いのを除けば、いっぱしの白魔だな」


「黒いとまずいかな?」


あたしはチェイサーの白い髪に目をやった。


「いや、狩りは夜だから雪に落ちた木の影と見分けはつくまい」


チェイサーはそう答えながら床に置いてある弓を手に取った。


「試しに射てみろ」
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