氷狼―コオリオオカミ―を探して
「自分で点けりゃいいじゃん」


あたしは弓を背負ってライターをつけた。

小さな炎に氷狼が下がる。


ホントに苦手なんだ


棒の先にライターの炎を近づけると、狐達もジリジリと下がった。


なんで?


「煙が出たらすぐに種火を離すのだぞ」

チェイサーが言った。


そんなもんでいいの?


白い煙が立ち上り、あたしは言われた通りライターを離した。


ボンッ!


――ボンッ?

「おわぁ―――っ!」


花火みたいに火花が弾けた後に、棒の先から炎が上がった。


「もうちょっと具体的に警告してよっ! びっくりするじゃない!」


「やかましい……」

チェイサーがうんざりしたように言った。

「こんなにやかましい娘だとは思わなかった」
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