氷狼―コオリオオカミ―を探して
リーダー狼が唸り声と共に白く冷たい息を吐いた。

息は瞬く間に風になり、ビルとビルの間で渦を巻き空中へと舞い上がる。


凍りついた風に頬がキンと突っ張った。


チェイサーは低く笑い声を上げると剣を振り上げ、リーダー狼に切り付けた。

大きな氷狼は真横に飛び跳ね切っ先をかわす。

あたしはチェイサーの動きの邪魔にならないように体を離そうとした。


「チビ、しっかりとつかまっていろ!」


チェイサーが風に負けないように大きな声であたしに言った。


あたしは慌ててチェイサーにしがみついた。


氷狼は馬の顔前で飛び跳ね、馬が前脚を上げて避ける。

馬の蹄が落ちるその前に氷狼はチェイサーの剣をかわし、あたしの持つ炎の下をくぐり抜け、狐の牙をものともせずに白魔の包囲を突破した。

その後ろを氷狼達が走り抜けていく。


「やられたな」

チェイサーは馬をなだめながら言った。

「追え! 予定通りの場所へ追い込め!」


狐が唸り声を上げて駆け出した。

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