秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*

――楓サイド――


「楓様!」


野木さんのもとに到着し、顔を合わせるなり。

彼は、嬉しそうな…安堵したような、色々な感情がごちゃ混ぜになって襲ってきたような表情をしていた。


「楓様…本当に…」


「触る? なんなら引っ張る?」


「なに言ってんだお前はΣ」


ぶるぶると身を震わせる野木さんに真顔で提案する真裕は、いたって本気だ。


「ご無事で……ご無事で何よりです楓様…」


「…すいませんでした」


泣き出しそうな表情で深く腰を折った野木さんを見て、俺は広く…とても幅広く、何人もの人をこれだけ苦しめていたんだと実感した。


正直、真裕を泣かせてしまったという罪悪感や後悔は強くあったものの。

母さんに相当心配をかけたし、悩ませたなとは思ったものの。


それ以上は…どうしても、実感が湧かなかった。

日本組もウィーン組も、聞けばずっと真裕といてくれたらしいし…イギリスにまで飛んできてくれた。

それなのになぜか、実感がなかったんだ。


だけど今、野木さんの姿を見てようやく感じた。

他にも…こんな思いをさせている人がいるのかもしれない。


申し訳なく感じた。


「かっくんどうしたの」


「あ? …ああ…」


「あ、真裕様…あの、お子は…?」


「あー別に大丈夫。ごめんね」


…さらっと言うなこいつも。


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