秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*

楓に覆いかぶさるように抱きしめる真裕の足元には、昨日花梨が渡していたマグカップの破片が散らばっている。

なんでまたこういう状況に…?


そう思って首を傾げた、その瞬間だった。



―スッ…



「え…!?」

「なっ…」

「!?」

『…!!』

『…!?』


な…に…!?


「か……楓…?」


楓の母親が、震える声で漏らした。

無理はなかった。


なぜなら……今。

泣きじゃくる真裕の頭に、優しく乗せられた手がある。


『どうしまし…た……』


駆けこんできた医者も、言葉を止めた。

その場で口を開く者はいなくなり、真裕の号泣する声だけが響き続ける。


「うっ…うーうっ……!」


…俺達からは見えない。

真裕の陰に隠れて楓の姿は見えないけれど、あの手は確かに……確かに楓のものだ。


ということは…。


『ち、ちょっとどいてください!』


焦って俺達をかき分ける医者が中に入っていき、真裕のいる方とは反対側から覗き込み、驚愕の表情を浮かべた。


『なんてことだ……』


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