名前も忘れてしまった
私はとっさに顔を伏せた。
「…なんで隠すんだよ。」
1番見られたくなかった。
こんな私の姿、みっともない…!!
「おい、町谷……何があったんだよ。話せよっ…」
「いいよ…対したことないから。」
私は立ち上がって木下くんから離れた。
本当は自分から離れるなんてしないけど、今は駄目。
駄目だよ……こんな姿。
「対したことじゃないわけねぇーだろ!!……泣いてんじゃん。話せっ…。」
木下くんの、強引だけど確かにそこにある優しさに胸を打たれる。
ヤバいっ……私、木下くんのこと……
「やだ!!……離して」
「離さねぇ。」