名前も忘れてしまった



「心は折れたとしても、泣いたりはしないでしょ…?私みたいに…。」



私は小さく呟く。



今屋上で木下くんと2人きりで隣に座って話していることが、なんだか不思議で仕方ない。



でもそんなことは、強い風が忘れさせてくれた。



「はぁ~気持ちいい……。」



木下くんがそう言って床に寝転んだ。



私は木下くんをさりげなく見てみる。



相変わらず、綺麗な顔をしている。



「……何見てんの?」



木下くんが小さく笑う。



「みっ…見てないよ!?」



「嘘つき。」
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