記憶 ―流星の刻印―


私の記憶が、
何かに引っ掛かる。


「…8年前に…。母さんが死んだ…。」

私の呟いた言葉に、
2人の表情が曇った事を、私は見逃さなかった。


「……ちなみに、砂丘の先代の王が亡くなったのも、8年前ですよ?知らなかったでしょう?ふふ…」

朱理が冷ややかに笑う。
まるで何も知らずに、のうのうと暮らしてきた私を嘲笑うかの様だった。


「――朱理!!あんた、そのかんに障る言い方、止めなさい!!だから何時まで経っても青二才なのよっ!!」

何かが…あったんだ。
母さんが、
関わっている何かが…。


「…何が…あったの?」

「…ごめんなさい。それは、今…私の口からは言えないわ…」

花梨さんは私から目を逸らす。
私はすぐ横に居た太磨を見た。


「………。」

答えは返らない。

太磨は、
どこまで知っているんだろう…

せっかく、頼りになる太磨を信用し始めていたのに、悲しくなったわ。


「私がお教えしましょうか?」

そう得意気に言ったのは朱理。
私は、首を横に振った。


「……いいわ?帰って、ちゃんと正しい情報を、ババ様に聞く事にする…」

…そうゆう事でしょう?

そう花梨さんを見ると、
深く、深く、頷いていた。

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