記憶 ―流星の刻印―
「――僕が!?まさかっ!」
蓮は慌てて大きく否定した。
じゃあ…どうして…
「………妖術ね?」
恐る恐るそう口を開いたのは美玲さんだった。
眉をひそめる私の前で、蓮は「うん…」と静かに首を縦に振った。
ババ様は、
怪しい『妖術』を使う。
この村で妖術を使えるのはババ様1人だけれど、草原の民が住む他の村にも数名は居ると聞いていた。
ババ様はその中でも、
『龍の巫女』と呼ばれていて、
母さんが眠るあの薄朱い湖に棲むという『龍神』を護る立場らしい。
でも、
龍神なんて居ないし。
村の皆も、只の迷信だと思っているわよ。
勿論、私も信じていない。
妖術はともかく、
龍神なんて居やしないわよ。
「分かるはずないわよ。だって虎白は家から出してないし…。ババ様が使う妖術なんて占いみたいな物でしょ?」
「いやいや…占いだなんて。聞かれたら怒られるよ?」
「だって…」
ババ様が皆の前で妖術を使うのは、村のお祭りで作物の豊作を願う時とか…、空の天気を占うとか位よ。
年をとっているから物知りではあるけど、凄い力を持っているとは到底思えないのよ。
だけど、
ババ様は皆に信頼されてるし、
同時に皆に恐がられてる。