記憶 ―流星の刻印―
さっき太磨が言っていた、
「大人の事情」ってやつ…?
ただ単に、虎白を渓谷の地に届けるだけの、私の「自由を知る旅」だったはずなのよ?
「…1つ確認なんだけど、揚羽ちゃんの父親って、まさか太磨ちゃんじゃないわよねぇ?」
「「――まさかっ!!」」
思わず叫んじゃったけれど、
何でそんな質問が今出るのよ。
「……じゃあ、やっぱり…?やっぱり、そうなのね?」
「……そうだ」
2人にしか分からない会話。
割って入る事の出来ない重い雰囲気に、私はそれ以上の疑問は何も口に出来なかった。
「……刻印」
「隠れてる」
「……自覚症状」
「ない」
「……問題」
「ない」
何?私の事?
それとも…虎白の事?
2人の表情を必死に行き来して読み取ろうてしたけれど、暗号じみていて何にも分からない。
「――はぁぁ~…。困ったわね?どうしたもんかしら。」
「……別に良いだろ?」
「良くないのよ!!呑気者!!鼻ったれっ!!特に今はね!!」
――…ぜんっぜん、
分からないわ。
何だって言うのよ!?
「私がここに配属された理由はね、砂丘の地の内部が荒れてるからよ。何かあった時の戦力になる様に、その為に居るの。」