好きな人は、
「なんだよ……俺のこと嫌になったわけ………?」
耳元でした、切なそうな声。
初めて聞くその声に、涙がまたたくさん溢れて流れ落ちた。
彼にこんな声を出させたのは……私だ
必死に胸の中で首を横に振り、腕の力を一層強める。
「…ごめん…ごめん……奏………」
伝えたい言葉いっぱいあった。
でも、言葉にしたくても、涙のせいか喉につまったようで。
言葉以外で伝えようと、強く強く心を込めた。
「……ワガママな女…」
彼の優しいトーンの声が、心地よく耳に響いて。
自分で言うのもなんだけど
愛されてる気がした。