金髪王子2

『サンキュ』と口の形だけで菊地に伝え、俺は栞の荷物を持った。


隣に立つ村上先輩を見ると、俺と栞の内緒話は聞こえていたようで、がっくりと肩を落としている。


まぁ、意図的に、聞こえる程度の音量で話してたんだけどさ。


どうやら、致命的なダメージを与えることに成功したらしい。


フン、残念だったな、先輩。


もう栞に手ぇ出してくんなよ!




俺は、栞の肩を抱いて、意気揚々と控え室をあとにした。



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