部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
そう言いながら亜矢子を上目遣いに見詰める前沢の瞳の光が増した様に感じた。本職の刑事の迫力とでもいおうか……

「私、ちょっと考えたんだけどさぁ…凶器についてた指紋って言うのも、偶然付いたんじゃないの?だって、理事長室には先生方も頻繁に出入りするし、うっかり触っちゃったって事だって考えられるでしょう?」

亜矢子は前沢を見下ろす様な恰好で、そう言った。

「仮にそうだとして、被害者付近に付いていたスニーカーの足跡と髪の毛はどう説明するかね。犯人は意図してそこにいた事は総合判断として間違い無い。被害者は、間違い無く沢村直子に殺されたんだ」

亜矢子は前沢の言葉を聞きながら、仏頂面を張り付けて、少し皮肉っぽい口調で吐き捨てる様にこう言った。

「なら、とっとと身柄確保して、あんた達流の取り調べでもして、調書をでっち上げちゃえば良いじゃない。それで万事解決よ」

前沢は亜矢子の笑えない皮肉に苦笑しながら、右手で頭を掻いて見せた。
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