部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
亜矢子はくるりと踵を返すと、足早に職員室に通じる廊下の角を曲がり、二人の視界から姿を消した。琢磨と前原は、その場で思わず見詰め合う。

前原は苦笑いを浮かべて、小さく肩をすくめて見せた。

その時だった。がしゃん、ばたんという音が廊下中に響き渡ったのは……

今度のは、雷とは全く違う、ガラスか何かが割れて、木戸でも倒れた様な音だった。

しかもかなり激しい音だった。

前原と琢磨は向き合ったまま、視線だけ廊下の曲がり角に向け再びお互いの顔を見合わせた後、脱兎の如く音の方向に走り出した。

そして、職員室前の廊下に出て初めて飛び込んで来た風景は、信じられない物だった。

亜矢子も、その光景を見て、思考が止まっている様で、ちょっと引き気味の姿勢のまま、動こうとしない。いや、動く事が出来なかった。
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