部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-

・タイムトリッパー

三人の前で繰り広げられている光景は、仰向けになった「直子」の上に馬乗りになった「直子」が髪の毛を振り乱し、力の限り首を絞めている光景。

そして首を絞められている方の「直子」も必死で抵抗、手足をばたつかせ、力の限り逃れようと必死でもがく。

首を絞めている直子の横顔は、亜矢子や琢磨が知っている、いつも穏やかで教養に溢れ美しい物を愛しむ美術教師の表情では無い、神憑(かみがかり)の様に、眼を血走らせ薄笑いを浮かべ、ただ一心不乱に首を締めあげて行くもののけの様にえた。

あっけに取られて三人は、暫く呆然とその様子を眺めてしまったが、最初に正気に戻ったのは前原だった。

彼がはじかれた様に揉み合う二人に向かって走り出したのを合図に亜矢子と琢磨もその後を追う。
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