部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
「あ……あれ?」

亜矢子が不思議そうな表情をして突然立ち止まる。

それを避けきれずに琢磨が亜矢子の背中にドスンとぶつかる。

「なんだよ、急に立ち止まったらあぶないだろ……」

そう言いながら亜矢子の視線の先に居た人物を見て琢磨の脚も自然と止まる。

亜矢子の視線の先に居た人物も、二人の存在に気がついたらしい。

「こんにちは、どうしたの?」


現れたのは沢村直子。


さっき、理事長室を出て、おそらくは校舎の外に出たであろう彼女が美術室の方向から現れたのである。

「――え、ええ、ちょっと部活で部室に用事が有ったもので……」

釈然としない表情を浮かべたまま亜矢子が、酷く事務的に沢村に向かってそう言った。沢村は亜矢子の問いに「そう」と短く答えただけだった。
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