部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
前沢は刈り込んだ頭を、わしゃわしゃと掻きながら琢磨達に背を向けた。琢磨は、何か言いたそうな表情の亜矢子を引っ張って、無理矢理理事長室から連れ出した。

休日の廊下は、人通りも無く、何時もの校舎の風景とは違って、少しよそよそしく感じる。

亜矢子と琢磨は二人揃って文芸部の部室に向かって歩いてた。

その途中、亜矢子の機嫌が、何故か目に見えて良い事が気になって仕方がなかった。

「――おい、何、考えてるんだよ…」

極めていぶかしげな表情で琢磨は亜矢子に尋ねた。

「んふふ……何となく分って来たわ…密室殺人のトリックがね」

「お前の頭で分る様なトリックなんぞ、あるんかい?」

「私の灰色の脳細胞を持ってすれば、解けないトリックなんてないのよ!」

亜矢子は自信満々、自分の頭を指差して見せた。琢磨は、やれやれと言う表情で肩をすくめてはあぁっと小さく溜息をついた。
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