部活探偵のツンデレ事件簿-タイム・トリッパー殺人事件-
部室のホワイトボードに向かって亜矢子が理事長室と職員室、廊下の関係を図に書き始めた。その様子を琢磨は椅子に座って机に頬杖をついてぼんやりと眺めていた。

ひとしきり図を書き終わると亜矢子は琢磨に向かって踵を返し自分の意見を述べ始めた。

「いい、琢磨、この見取り図の如くで、犯行当時、理事長室は完全に密室だったの」

琢磨は全く気乗りしない表情で亜矢子の顔を見詰めている。

「職員室には教員がたくさん居たから、職員室側から理事長室に出這入りすれば誰かが必ず気が付くし、廊下側の入り口と窓には、鍵がかかっていた。この鍵は理事長室側からしか、かける事が出来ないから、犯行当時、この部屋は完全な密室状態だった」

「そんな事は、分ってる。で、お前の推理と言うのは何なんだ?」

亜矢子の笑みには不敵さが更に上乗せされて、もはや女王様状態で有る。
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