サヨナラいとしい子
ハルトは、しょんぼりと
肩を落とした。


「…なんで俺、
こんなにヘタレなんだろうなぁ…。
彼女なんてこの先一生
できる気しないや…」



アタシは、ハルトの手の中に
大事に包まれている、

淡いブルーのショールに
鼻を近づけた。



貴方にないのは勇気だけ。


こんなにいい子なんだから
大丈夫。



うまく動かせなくなった身体を
アタシは思い切って動かした。


顔を精一杯前に伸ばして…。



「ココア?!…ちょっ…!
ダメだって!!」



アタシは、ハルトから、
ショールを奪いとった。


大丈夫よ、ハルト。

ほら、アタシも一緒に
ついて行ってあげるから、
彼女を誘いましょう?


気の利いたレストランの
一つくらいは
知ってるでしょう?



でもすぐに力尽きて
アタシはその場に
へたりこんでしまった。


動いてよ、アタシの身体。




「ココア、離して。
それは人のものなんだから…、
な?」



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