夏と幽霊とボロ屋敷の法則
ひぐらしの鳴き声がむなしく鳴いている夕方。

独りで屋敷に戻る勇気がなかったので、近くの民家に助けを求める事にした。

空き巣にしろ幽霊にしろ確認する勇気がない。
屋敷の門へ足を運ぶ。
裸足はある意味いろいろ痛い。しかし行くした道は無い。

ふと紅茶の煎れる匂いがする。

「もう夜になる。女の夜道は危険だぞ」
誰もいないはずなのに声がする。
恐怖を振り払い声のする方へ目を向ける。
「聞こえないのか、夜道は危険だ。」

「私には貴方が危険に見えるんすけどーー。」
そこには幽霊がいた。妙に顔の整って、多少透けて見える青年がね。 でもね、外国の貴族が着そうな礼服を纏って、ティーカップ片手に立っている。 ティーカップにはご丁寧に可愛いハート柄がある。
ちなみにここ日本庭園。滑稽としか言いようがない。
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