今日も今日とて僕は僕をコロシます
歩くという行為を、『している』でしょ。なんて僕は野暮なことは言わない、うん、断じて。
警戒を解くなり、彼女は僕に一枚の紙切れを差し出した。
名刺だった。
「今時の心理カウンセラーって、名刺を持っているんですか」
「十人十色だな。カウンセラーとしては、私は顔が広く、簡易に自己紹介をするのに名刺を作ったにすぎない。名刺を渡せば、それを媒体に他人から他人へ私を知る輩も出てくるだろう」
「つまりは仕事が増えると?」
「好きな言い方ではないが、頷いてはおこう」
名刺を持つ。あちゃ、指先の血で汚れた。滲みはしないものの、近くの街灯の明かりで黒文字を読んだ。