天使の羽根

「え? 何、午後はサボるわけ?」

 あずみの言葉を背中で受けながら穂高は「ああ」とだけ呟くと、振り向かずに片手を上げ屋上を後にして行く。

「単位足りなくなって卒業できなくなるよ!」

 あずみの叫ぶ声は、虚しくも空を突きぬけていった。


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