boyshな女の子
《華鈴side》
「おー、早かったなー」
俺の姿を見た紀田さんはかったるそうにいった。
「早く来い言ったのはどこのどいつでしたっけ?」
「そんなのどうでもいいから早く乗んな?」
俺の嫌味は笑顔でスルーされた。
紀田さん…もうこんな奴呼び捨てでいいや。
初対面は気弱な優男風だったその化けの皮は出会って数日で脱ぎ去ってしまった。
本性はとにかくダルそうな……言うならば人生舐めてるような体たらくぶりだ。
ついでに言うと女遊びが激しい。
紀田にはもったないぐらいのいい顔がついてる。
紀田曰くあっちも遊びだからいいのー。だそうだ。
周りからはヒモと言われてることもままある。
女と遊んできた経験がそうさせるのか、腹立つことにエスコートは完璧だ。
さりげなく助手席を開けておくとかな。
俺は無言で紀田の愛車に乗り込む。
「何の授業だったんだ?」
「数学」
紀田はふーんと言ったきり口を閉じた。
代わりに俺が問う。