月夜の天使
学校から美織の家へお兄さんと共に向かい始めた。

美織は病院を抜け出し家へ帰ってきてしまったのだという。

「美織は、子供のころから甘えんぼで。小さい時に母親が心臓病で亡くなったんです。それからは、俺のあとばかり着いてきて『お兄ちゃん、お兄ちゃん』って。一人ではなんにもできない甘えんぼでした。そんな美織が十夜さんに出会って少し変わったんです。恋してる美織はとても幸せそうでした」

美織ちゃん…。

兄は美織との想い出をゆっくりとした口調で淡々と語り続けた。

「美織は小さい時から持病を持っていて母親と同じ心臓病でした。医者から余命3ヶ月と告げられたのがちょうど今から3ヶ月前です。美織はきっと知っていたんでしょう。『十夜先輩に会いたいから学校に行かせて』と泣いて頼んできました」

死ぬとわかってて何度も十夜に想いを告げていた美織ちゃん・・・なんて切ない恋。

「ここです」

美織の話をしているうちにいつの間にか家の前に来たようで、兄は立ち止まった。

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