月夜の天使
目の前には腕から血を流し苦しんでいる伊織がいた。

アザが傷つき、そこから青い玉が今にも飛び出そうとしている。

突然、上から声が聞こえた。

「やはりな。加奈に暗示をかけたのはお前か」

十夜!!

十夜は庭の塀の上に片膝をつき、こちらを見下ろしていた。

「ふっ。カマイタチか。お前の得意技だったな」

伊織が不敵な笑みで答える。

「お前は一度目に加奈に会ったときに加奈に暗示をかけた。『もう一度加奈が伊織に会ったときが加奈が自分を攻撃する時だ』とな」

十夜がそう言うと、伊織の不敵な笑みはさらに禍々しく豹変した。

「くっくっくっ!トオヤ、お前は流石だよ!精鋭ぞろいのカナンのガードを数々倒してきたが、何世紀たとうとお前は倒せなかった。だが!ミズキの鍵は前世で破壊した!現世では必ずミズキを倒す!そうなれば、トオヤ。お前一人でカナンを護りきれるか!?」

伊織は恐ろしい顔で十夜を見上げ、そして急に事切れたように倒れた。

伊織の腕から人間の顔くらいの大きな青い玉が飛び出し、空高く龍のように舞い上がり雲の中へと消えていった。

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