ピンヒールとスーツ

ピクリッ

専務のこめかみが動いた。

この取引は8000万で交渉しろと理事会で決まっていた。

専務があたしの足を軽く踏んだ。


あぁ 納得させろと…?
このために連れてきたのね。

この人本当に専務なのかしら………


あたしは資料を取り出した。

「申し訳ありませんが8000万ではいかがでしょいか」


「……………無理だな」

向こうの社長が言う


「我が社もここ数年ぐんぐんと実績を上げてそれと比例して売上も伸びています。」


専務はうんうん と隣で首を振っている。




「この仕事ができるのは特許の関係上我が社だけだと思うんですが…」

資料を見せながら説明を加える。


連は唖然としている。
連は何しにこの場にいるんだろう。

「この仕事がうまくいかないとお困りになるのでは?」


「………………」

「もう一度お聞きします。8000万でよろしいでしょうか?」


「………………分かった。8000万で取引しよう」


ぐっ  あたしは机の下で、小さくガッツポーズをした。


「ありがとうございます。 今後ともよろしくお願いします。」
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