群青ホームラン
『あ、もしもし?今日ね、一緒に帰れなくなっちゃった。文化祭の買い出しに行くことになっちゃって』
買い出しと聞いてあの時のことを思い出した。
〝……え?恵美の彼氏も?いいけど…。うん、あ、友達も来るんだ。私は別に大丈夫だけど〟
あの会話は多分恵美って人の彼氏も買い出しに付いてきて、その彼氏の友達も来るって意味だと思う。
何故かまたモヤモヤとした感情が沸いてきた。
……誰と行くの?と思わず聞こうとした時、バッとスマホを誰かに奪われた。
『あ、もしもしなっちゃん?俺竹田。傍に長崎いる?文化祭のことでメールしたんだけど返って来なくてさ』
犯人は竹田しかいない。
つーかスマホ奪ってなんで平然と話しはじめてんだよ?
『あ、前の授業体育だったんだ。……んでさ俺ら文化祭そっち……』
今度は俺が話の途中でスマホを奪い返した。「あ!ちょっと!」と慌てる竹田を完全にシカトして、俺はスマホを耳を当てる。
『あーごめん。竹田のことは気にしないでいいから』
俺が話の続きを言おうとすると隣でまたうるさいヤツが騒ぎはじめた。
「あれ聞いてあれ!文化祭の!ほら」
文化祭のあれ……?
“なぁ、文化祭の日ちょっと抜け出して南女子校に行かない?”
そんな言葉を思い出し、俺は渋々話しを切り出した。
『あー……なんか文化祭の日俺らがそっちに行くとか行ってるけど』