群青ホームラン



最初はどっちでも良かったけど、ミスコンから逃げられるし俺としては都合が良さそう。


『え?絶対にダメ!!』

予想もしてなかった青木の反応に俺は戸惑ってしまった。青木なら喜んで“いいよ”って言うと思ったのに。


『な、なんで?』

あまり深く聞きたくないけど、聞かずにはいられない。


『なんでって……。冴木くんたちが来るなら私たちが行くよ!休憩時間とかあるしさ』

全然質問の答えになってないんだけど。明らかに動揺している青木の姿が目に浮かんだ。


『あ、チャイム鳴っちゃったから切るね!それと今日は本当にごめんね。また帰れる日があったらメールする』


挙げ句の果てには一方的に電話を切られ、虚しく耳元で保留音だけが響いていた。


「なっちゃんなんだって?」

電話を切ったあと、すかさず竹田に結果をせがまれた。俺は無言でスマホをポケットに入れて一言だけ返す。


「ダメだって」

「えー!!な、なんで?」

その瞬間タイミングよくうちの学校もチャイムが鳴り、俺は席に着いた。


なんでって知らねーよ。つーか結局買い出しのことも聞けなかったし。

ってか本当にモヤモヤするんだけど、なんだろこれ。気持ち悪い……。

< 27 / 42 >

この作品をシェア

pagetop