群青ホームラン
……ってあいつの話はやめやめ!
今日は俺が主役なんだって。
でもなんか中途半端になったから言うけど、冴木とはちゃんと友達になれたし、アイツは今幸せになれた。
青木夏月、通称なっちゃんに出逢って。
あ、これだけは声を大にして言いたいんだけど、冴木となっちゃんの出逢いのきっかけを作ったのは俺。
長崎となっちゃんは同じ高校で、長崎主催の合コンに俺が冴木を連れて行ったわけですよ。
そこで、二人は出逢って冴木はめでたくなっちゃんと結ばれたって話。
「ってなわけで、俺はお前らのキューピッドなんだから今度は俺のキューピッドになって」
学校の昼休み。パンを頬張りながら冴木に頼みごとをした。冴木はこんな俺の切実な願いを無視して、飲み物を飲んでいる。
「ちょ、ちょっと!お前はなっちゃんと一緒になれたからいいけど俺は……」
すると冴木から衝撃的な一言が。
「つーか、いつから竹田が俺たちのキューピッドになったの?」
はあ、もうため息しか出てきませんよ。
恋をすると周りが見えなくなるって言うけど、まさにそれだよ、それ。
冴木は確かに変わった。
もう冷たい人間じゃないし、俺たちは友達にもなったし、今では一番近くにいる同性といっても過言じゃない。
でもさ、人間初心を忘れちゃいけないっていうか、なっちゃんと冴木が出逢うきっかけを作ったのはさ……。
「青木は中学の時から俺を知ってたんだよ。だからあの時合コンに行かなくても多分青木は俺の前に現れてたよ」