群青ホームラン
◆聞かされた事実◇
え?なに?どういうこと?
「だ、だってあの時なっちゃん“初めまして”って言ってたじゃん!!それに全然そんな素振り見せなかったし」
「猫を被るって言葉知ってる?」
「ば、馬鹿にすんなよ!俺は確かに野球しかしてこなかったけどそのぐらい知ってるし!」
つーか待って。えっと、あのなっちゃんが?
……女って怖えー。もしかして長崎もそうだったりするのかな?いや、ないな。
長崎に限ってそんなことはない。でもその夜に俺は衝撃的事実を知ることになった。
勇気を出してかけた長崎への電話。
思いのほか昔の話で盛り上がり、なんかイイ感じかも!!なんて自惚れてる中……。
『じ、実はね、あの合コンの時に私ちょっと冴木くをのこと誘惑したんだよね』
なんて、予想もしない言葉を電話の向こう側で言われてしまった。
『え?え?な、なにそれ?どういうこと?』
動揺しまくってる俺は思わずベッドから起き上がる。
『いや……冴木くんかっこいいからさ。あ、でも今はそんなんじゃないよ?だって夏月の彼氏だしさ』
軽い口調で言う長崎とは逆に俺は全然軽い気持ちになんかなれず……。
『その時冴木はなんて?』
自分でもズルいことを聞いてると思った。
だってこれは長崎の自白であって、冴木は関係ない。