パシれメロス【短編】
ここまでの道のりが『サーキット』ならば購買部そのものは『闘技場』である。

弱肉強食なのはここも変わらない。いやサーキットよりもさらに厳しさは増す。

最初に佐藤君との会話でいらん余裕をみせたせいで、サーキットでの頑張りもむなしく『闘技場』には人が溢れていて、それはさらに増えていくはずだ。

人混みでここからは見えないが生徒用の出入口とは反対側に長いカウンターがあり、その向こう側ではたった数人のオバチャンが無数の生徒達をサバいている。

その様は全てを聞き分ける聖徳太子のようでもあり、また残像により手が何本もある様に見え、まるで千手観音のようでもあった。

そのカウンターにたどり着くのが第二の試練だ。

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