愛して。【完】





「水川真梨…どこにいるんだろうね」




ポツリと呟く、虎太郎にあぁ、と答える。


時刻は5時過ぎ。


ホテル街に来てから、優に2時間は過ぎていた。


たとえ水川真梨が俺達が来た時点でどこかのホテルに入っていたとしても、そろそろ出てくる頃だろう。


それとも、アイツは行為の後に長居するのが趣味なのか?




もしここにまだいないとしても、遅すぎる。


ずっとホテル街の中で歩き回ってたけど、水川真梨がいた形跡はないし。


だとしたらこの数時間……


何してるって言うんだ?


蓮さん達から見つかった、と言う報告は来ないし、どこかで遊んでるのは明確。


アイツに女の友達がそんなにいるとは思えないし、男といるのは真実だろう。


だが、男と数時間――…行為以外に何をしてるというのだろうか。


考えれば考えるほど、頭が破裂しそうになって。


ただの男好き――…


そう考えれば、終わることなのに。


どこか、その裏に秘められた意味がある気がしてならない。









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