愛して。【完】





ホテル街への道は、予想以上に遠い。


毎度のことだが、周りからの視線が痛くて。


この道のりを遠く感じさせる、一つの原因だと思う。




隣のケイくんはと言うと、胸を張って、堂々とした様子で歩いている。


何でそんな様子なのかと言うと……原因は、あたしだ。


あたしには男の思考回路なんてものはわからないが、男はあたしが隣にいるだけでも価値観が上がるらしい。


とりあえず、顔がいい女を傍に置きたいのだろう。


とはいえ、あたしは水川真梨だ。


数えきれないほどの男と寝てきたし、はて、これが自慢になるのかと思うが…


ケイくん以外にも、こんな態度であたしの隣を歩く男は沢山いる。


見た目爽やかで好青年でも、考えてることは一緒ってことだ。


そう…誰だって、自分が一番可愛くて。


誰だって、自分の欲を満たすために生きている。


男が欲しがる欲なんて……考えれば、すぐわかる。


ただの、欲のはけ口だ。







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