愛して。【完】





そっとその唇を離して真梨を見詰める蓮は、とても穏やかで優しい顔をしている。


本当に、真梨と出会ってからのたった数日で蓮は変わった。




小さな頃から一緒にいる俺達。


よく言えば幼なじみ、悪く言えば腐れ縁。


そんな関係の俺ですら、初めて見る蓮の表情。


良く笑うし、何よりこんなに優しい。




今まで女に対してこんな態度を取ったことなんかないし、真梨のことを気に入っている――否、特別な存在だと言うことは俺から見ればよくわかる。




女を性欲処理の道具としてしか見てなかった蓮が、こんな瞳をしている。


良い意味でも悪い意味でも、真梨が蓮を変えたんだ。




それだけで俺は真梨を認めることが出来る。


ただの単純バカだって言われても良い。


それが、俺に出来ることだから。









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