愛して。【完】
「う、ん……」
真梨の寝苦しそうな声が車内に響いて、顔を俯ける。
普段の声とは違う、くぐもった声。
それがまた色っぽく、俺の顔を真っ赤に染める。
あああああ……
んな、なんなな、なんだ、あの色っぽい声!!
そんな思考も、漂い始めたどす黒いオーラに止められる。
もちろん、醸し出している張本人は蓮だ。
この声を聞いていた俺と和也に対してだろうそれは、俺の肝を冷やしていく。
「おい」
ついに発せられた声に反応したのは、和也だった。
「どうかしました?」
「いや…」
本当にこいつは掴み所がない。
真梨の声も聞いただろうに、何ともない様子。
それに聞こえてないと判断したのか、だんだん消えて行くオーラ。
助かった…
和也に感謝だな。
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―――…
――俺はよく、こう言われる。
意外と純情キャラだよね、と。