愛して。【完】





「う、ん……」




真梨の寝苦しそうな声が車内に響いて、顔を俯ける。


普段の声とは違う、くぐもった声。


それがまた色っぽく、俺の顔を真っ赤に染める。




あああああ……


んな、なんなな、なんだ、あの色っぽい声!!




そんな思考も、漂い始めたどす黒いオーラに止められる。


もちろん、醸し出している張本人は蓮だ。


この声を聞いていた俺と和也に対してだろうそれは、俺の肝を冷やしていく。




「おい」




ついに発せられた声に反応したのは、和也だった。




「どうかしました?」


「いや…」




本当にこいつは掴み所がない。


真梨の声も聞いただろうに、何ともない様子。


それに聞こえてないと判断したのか、だんだん消えて行くオーラ。


助かった…


和也に感謝だな。






―――――――――――
――――――
―――…




――俺はよく、こう言われる。




意外と純情キャラだよね、と。





< 271 / 404 >

この作品をシェア

pagetop