愛して。【完】
「いや、引っ掛かると言うか…まぁそんなんだが、あの子…数年前にここに来たことがあるんだよな…」
――ここに、来た?
「どういうことだよ…?」
そう言いながらも、顔が引きつっているのがわかる。
だって、ここは真梨の住んでいたアパートから近くない。
ここに来るくらいなら、他の病院に行く方が賢明だ。
――怪我や病気が酷くない限り、こんな総合病院には来ないだろう。
「三、四年前ぐらいだったかな…顔は今と変わらずこの世のものと思えないほど綺麗だったから、よく覚えてるよ」
「なんのために、真梨は…」
真梨は、こんな所の病院に来たのか。
蓮の途切れた言葉の続きは、俺も親父も予想がつく。
「運ばれて来た時、水川さんは意識が無かった」
「え…?」
意識が無い、という言葉に思わず声が漏れる。
「意識が無い、と言ってもそんな重症じゃないよ?ただ、眠ってただけだ」
「と言うことは…救急車で運ばれたんですか?」
「いや、違う。確か――女の子が抱き上げて連れて来たんだったかな?あぁ、そうだ。丁度今のお前等くらいの年の女の子だったな」