愛して。【完】



アパートに着くと、とりあえずカラコンを外してシャワーを浴びた。




「シャ―――――」




シャワー音が鳴る中、鏡の中のあたしを見る。


お湯に濡れて真っ直ぐになったハニーブラウンの髪に、


カラコンを外したことで露わになるあたしのブルーの瞳。


これがあたし、水川真梨【みずかわまり】の姿。





あたしはハーフかなんかかっつーの…


親なんて知らず、ここで一人暮らしをしているあたしは、自分が何でこんな“色”なのか知らない。


瞳だってホンモノだし、髪だって地毛。


母親は知ってるけど、日本人。


父親は、外国人だったりして。




フッと自嘲的に笑ってお風呂から出る。




別に今さら父親に会いたいとか思わないけど、こんな“色”を持ってるなんて気味が悪い。


ま、だからと言って母親に聞いたところで教えてくれるとは思わない。


あたしは、あの人の所為で“初めて”を失ったんだから――…








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