レジェンドは夢のあとに【8/18完結】
「あ、チアちゃんお疲れ様ー」
社長室から出てきたあたしを迎えたのは、スタッフさんと打ち合わせをしていたケイくんだった。
知的な微笑みを浮かべる。
「ちょうど良かった。曲順で、ちょっと変更させようかなと思う部分があって」
柔らかな口調で、丁寧に説明してくれる。
曲順を追うケイくんの白い手を、思わず掴んでしまった。
…やばい、やばい。
やっぱりこんな重大な秘密、あたし1人では抱えきれない。
「ち、チアちゃん!?」
ケイくんが驚いて、あたしの手を振り払う。
はっと顔を上げると、珍しく瞳が動揺していた。
…こんな表情は、初めて見た。
いつも冷静かと思っていたから。(ATMみたいに)
だから思わず頼りたくなったのもある。
って、そんな場合じゃないけど。
「ご、ごめんなさい!」
ぱっと離れて、慌てて謝った。
…いかん。何してるんだ、あたしは。